退院支援研究会

2019年次大会のご報告

退院支援研究会 2019年度年次大会 アンケート結果とまとめ

 2019年5月25日(土曜)、本大会を成功裡に執り行うことができました。本当にありがとうございました。

昨年の後半は、私と当研究会事務局にいろいろと変化があり、年次大会の開催自体が危ぶまれた時期がありますが仲間意識研究会の本来の機能を追求するこころざしこそが重要であるという信念で頑張り続けたこと、結果として研究会を成長させることになったようです。これもひとえに皆様方のおかげと改めて感謝する次第です。

さて、当日は好天に恵まれ、メディアシップ日報ホールに36人の精鋭がお集まりになられました冒頭、私から最近1年間の当研究会の活動報告を行い、特別講演に臼井正樹先生をお招きしたいきさつと臼井先生のご略歴、二人のシンポジストを紹介させていただきました。臼井先生には慶州ナザレ園で花札に興じる女性と女子学生さんのポートレイトの説明に始まり、我々にはなじみが薄かった「親密圏と公共圏」という概念ならびに介護福祉の専門性とICFの再構築についてご説明をいただきました。そして『親密圏と公共圏は相互補完的な性格を有する。別の言い方をすれば、親密圏における構成員の関係性を調整する役割を公共圏は有している。同じ空間が親密な関係性と公共的な関係性を共有していることは、私たちがよく知るところである。この二つがバランスの取れた関係性として維持・構築されることが重要なのであり、どちらかがより重要というものではないことに留意していただきたい。』と結ばれたことで、シンポジストと私を含む参加者全員に大いに問題意識を与えていただきました。

続くシンポジウムでは、社会福祉士の小山弓子さんから介護福祉に関し我々が抱いていたイメージとこれからの課題、介護福祉士の樋口美和子さんからはこころうたれる動画を交え、「病んでも老いても自分らしく過ごせるよう介護福祉の現場で行われている取り組み」をご紹介いただきました。その後に繰り広げられた対話を全てここに再現することはできませんが、参加者の皆様に記載していただいたアンケートの結果でそれに代えさせていただきます。一部内容を変更し、職種を記載させていただきますことをお許し下さい。

追伸、当日お配りした「ヒューマンサービス増刊号」が若干、私の手元に残っています。ご希望がある方は、送付先をお知らせ下さいますようお願いいたします。

令和元年5月吉日

退院支援研究会 代表 本間 毅

 

 

【退院支援研究会 2019年次大会 アンケート結果 】

○「活動報告」で不明な点やお気づきになったことはありますか

・定期事例検討会の小山さんの発表が気になりました。(学生)

・臼井先生の講演の前に「主題のあるいは、そのこころは・・・」のお話を聞くことで話の理解がしやすかった。(主任CM・保健師)

・設立から2年くらいで学会発表や講演、事例検討会を実践していること、大変実りある会であると感じます。(看護師)

○臼井先生の「特別講演」から、貴方は何を学びましたか

・同族意識や「親密」の拡大、「CARE」につながる。(作業療法士)

・「考えること」「考え続けること」で仕事に深みがでる。今日の話を聴かせていただいたので、ゆっくり増刊号を読んで考えてみたい。(主任CM・保健師)

・親密圏と公共圏という考え方は全く知りませんでした。なんとなく医療スタッフは患者様の親密圏に立ち入ってはいけないというふうに考えておりましたので、今回の講演で考え方を変えなくてはと思いました。「100mを9秒台で走りたいと考えている30代の方」の支援をすることも大切であると言うお話しは心に残りました。(医師)

・とても楽しかったです。ICFは目からウロコでした。ありがとうございました。(高齢者介護)

・ICF概念図の修正案のところがケアプランを作成していく上でとても参考になりました。支援していく中ではまず親密圏への参加をクリアしてこそ公共圏の参加ができるようになる方も多くいると思うので、クライエントと目標を立てていく中でよく考えて提案していきたいと思います。ICF 私は考えを整理するところでとても納得できました。(CM)

・CAREの本来の意味を考えたことはありませんでした。勉強になりました。全く専門外と思っていましたが高齢化している日本に介護が専門外の人はいないのだと感じました。最近よく耳にするジェンダーについての話もあり興味深かったです。親密圏公共圏、いただいた冊子でもう一度理解を深めます。(銀行員)

・親密圏のワードを初めて聞き、全て理解できてはいませんが、自分なりの解釈が持てました。(CM)

・勉強不足でICFの概念図、擬似的人為的な親密圏や公共圏など初めて聞いた言語でしたが興味深く拝聴させて頂きました。後でゆっくり本を読んでみます。(看護師)

・対象者とその家族ともっと親密圏を深めていきたいと思いました、又、公共圏とのバランスは注意が必要と思いました。(看護師)

・ICFについて今までこのように深く考えたことはありませんでした。ご紹介の本もできれば一読したいとおもいます。もちろん「対人援助と親密圏」も今日の講演をもとに読んでみます。大変ありがとうございました。(CM)

親密圏について対象者ひとりひとりのそれについて意識し考えようと思った。(看護師)

・ICFの概念をはじめて知りました。多職種の知見を学び喜びを感じました。(看護師)

・親密圏と公共圏という人間関係の1つの視点を得て、老人ホームでの虐待など少し整理して考えることができそうな気がしました。(作業療法士)

・ICFの図は福祉用具プランナーの講義があります。アセスメント・アクトの使用でも意識しているのですが新しい考え方として参考にさせていただきます。(福祉用具専門相談員)

・理解するのはなかなか難しい内容でした、具体的に話をして下さった所はよく理解できました。(看護師)

・介護福祉はどうあるべきか、求められることの根本。(管理栄養士)

・ICF概念図について。(CM)

・私はICF的考え方が苦手でした。ですが講演を聞き「なるほど」と思いました。(学生)

・相手のことを気にかけていることが伝わると、その後のケアの受け入れ、満足度が上がる「伝わる」んだ。確かに、伝わるかも…。と共感したこと。当事者の考えの中に入る。(精神障害者の当事者研究や看護を考える方向性につながる)。(看護師)

・介護福祉とは?をふんわりと理解できました。求めるもしくは達成するアウトカムに対する意識はまだわかりませんでした。(医師)

・介護福祉のスタート、役割について学び直すことができました。(MSW)

・利用者満足度の1つとして「自分を気にかけています」メッセージがある。(CM)

・病院勤務から特養併設の職場に転職した直後から、高齢者を主人公に介護福祉士がケアする場面に触れ、心が動かされることが何度もあったが、その理由が言語化できなかった。が、臼井先生のおっしゃるような、親密圏を創りあげるような力を感じ取れたから、心が動かされたのかもしれないと思った。そういった言葉にできないすごいことをやっている介護福祉の価値をもっと拡げる機会があればいいのに。臼井先生ありがとうございました。(SW)

○シンポジウム、対話の時間から学んだこともお聞かせ下さい。

・言葉や定義をすることがいざという場で何かになるとは思っていませんでした。考えることは面白く「考え方」や「気持ち」の面でよい栄養になりました。(作業療法士)

・医療介護連携事業を担当しております。介護の現場等の話を聞けて良かったです。在宅生活において介護職の力が必要だということを介護福祉士の方もご理解いただきたいと思います。(主任CM)

・様々な立場の方が自由に意見を出し合うとてもいい学びの場だったと思います。(保健師・主任CM)

・病院を退院していった患者さんがどんな風に暮らしているかわからないままの事が多いのでデイサービスでの利用者の過ごし方を見せて頂いてためになりました。(医師)

・「連携」とは「助けて」と言える関係というのはわかりやすく憶えやすくてよい。(医師)

・色々な方向からの話が聞けて面白かったです。(高齢者介護)

・活きる意欲をもっていただく為に否定せず意向をかなえていけるよう、自分だけで判断せず、研修会でアンテナをはり顔の見える関係を作って、チームで支援していきたいとあらためて思いました。(CM)

・それぞれの立場でのご意見が聞けて、とても興味深く、そんな考えもあるのだな~とか、分かる、分かるという部分が聞けて参考になりました。(CM)

・大変実りのある会で良かったです。現場としては特に食、排泄、が自立できるように支援します。(看護師)

・そのひとのできることをさがしてケアに結びつけていけるようになるといいなと思った(看護師)

・ケアって深い それぞれの援助者が真摯に取り組んでいる。(看護師)

・多職種の意見を聞くことができて良かった。リハビリ中止基準、ケアマネジャーさんが欲しい情報など参考になりました(看護師)

・様々なご意見が聞けて良かったです(福祉用具専門相談員)

・様々な職種の意見を聞くことができ良かった。共感できる部分も多かったです。(看護師)

・他職種、さまざまな現場の意見が聞けて連携に向けて他職種を知るきっかけになりました。(管理栄養士)

・連携の大切さをあらためて思いました。重度の利用者を受け入れてくれる事業所もあるのだと思いました。(在宅ケアマネ)

・「連携=助けてと言える関係」ということに納得しました。「食べる」ってほんとうに生きる活力気力になるのだと感じました。(学生)

・となりにいる人の顔色が分かる。(看護師)

・ICFなどの概念は深いですが、実際行われているケアは、リスクヘッジ主体となっている事がやはり問題かな?と思いました。医師からのinformがそれを軽減できると良いなと思います。(医師)

・小山さんからもお話しがあったように介護福祉士の方がどのような仕事をされているのか知っているようで知らなかったなぁと思いました、が、ACPの議論etc.にも非常に重要な役割を担っていることを改めて考えました。(MSW)

・それぞれの立場で連携手段や方法を不安に思っていることを学んだ。(CM)

・「意思決定支援が重要」 決定までをつなぐことを支援する。(CM)

・ベースの色々な職員がいる。その人を大切にすること。(CM)

・どんな意見にもゆったりと受け止め対応する臼井先生の懐の深さや、迎合したり従順な態度をしたりせずに、個の意見を言える参加者の方々と、意見を受け止め発展させるシンポジストの方々、そこに居るみんなの醸し出す雰囲気が、面白かった。(SW)

・シンポジウムでは介護の一間を垣間見ることができたうえ、「生きる」とは?と改めて考えるきっかけになりました。私も装具使用者が「自分らしい」生活を送れるように義肢装具士として活動していますが、装具だけに目を向けず、使用者とその環境にも十分目を向けなければ身体・生活に適合した装具を製作できないと再確認できました。(義肢装具士)

○その他、当研究会へのアドバイスをお願いいたします。

・日頃はこのような学術的な会へ参加することは余りないので勉強になりました。今後ともよろしくお願いいたします。(福祉用具専門相談員)

・とても面白い会だと思いました。(作業療法士)

・お世話になります。よろしくお願いします。(看護師)

・町中でなく郊外にある定員30人くらいの単独型のデイサービスの看護師や介護福祉士の話を聞いてみたいなと思いました。

・この度はお声をかけて頂き、大変ありがとうございました。介護が必要な年齢の祖母を重ねながら話を聞くことができました。(銀行員)

・退院支援をして成功事例を聴ける機会をもてたらと思います。今回のふれあいの杜のような事例をもっと出会えると力がわく気がします。(CM)

・今度は事例検討会にも参加してみたいです。ぜひお誘いいただければと思います。(作業療法士)

・ありがとうございました。(在宅CM)

・今回初めての参加でしたが充実した内容と活発な意見に驚きました(看護師)

以上