私は、平成11年に母校の杏林大学がある東京から郷里の新潟へ帰り、これまで微力ながら地域医療の一端を担ってまいりました。この間、退院支援に関する研究報告を続けてまいりましたが、このごろ「退院後も日常のケアや医療管理を入院中と同じように受けられるよう、患者と家族が適切なプランを作成することを支援する部門を越えたプロセス」とされる退院支援が、患者さんやご家族に退院強制と言われかねない状況にあるのではないかと危惧することがあります。これは、社会保障費の適正利用と医療機関の経営健全化の狭間で、医療の質が、在院日数や在宅復帰率など数字で見えるアウトカムから評価される現状が生んだ矛盾なのかも知れません。 超高齢社会を支えるため病院から在宅へのシフトを狙った地域包括ケアシステムや、病床数と在院日数の適正化を目標とする地域医療構想、平成28年春から始まった退院支援の診療報酬算定がこの傾向に拍車をかけているとしたら真に残念なことです。一方で、退院支援に携わる社会福祉士や退院調整看護師、介護支援専門員達の疲弊した表情を見る機会も少なくないような気がいたします。そもそも対人援助職には、主客の垣根を越え周囲と対話する姿勢や、援助のプロセスで葛藤を生じても過度に消耗することがなく、仕事のやりがいや醍醐味を感じながら成長し事態の硬直化を解く職場環境や人間同志のつながりが必要である、と私は考えます。 以上を鑑み、私たちは患者さんとご家族、ならびに対人援助者への支援を目標とした「退院支援研究会」をここ新潟で発足したいと考え、2016年秋から準備を開始しました。今後しばらくの間は、私が会の代表を務めさせていただきます。不行き届きな点が多いと思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします。
退院支援研究会 本間 毅
大きなお世話の会とは、「所属や職種の枠を超え、山のように海のように大きな視点で世話をする人」という意味が込められた世話人会です。
看護師として、地域のケアマネの皆様と一緒に研修していました。看護協会は何ができるか分かりませんが、楽しく研究として継続できるようにしていきたいです。
社会福祉士・主任介護支援専門員として日々「つなぐ」仕事、「支える人を支える」仕事をしています。この会でも、自分自身と周囲にいろいろ問いかけながら、「大きなお世話」をしていきたいと思います。
訪問リハビリテーションを専門とする理学療法士です。退院後の生活を支える立場から、この研究会に参加しました。生活期へのソフトランディングをいかに成功させるか、在宅医療・介護の立場から皆さんと一緒に考えていきたいと思います。